キャンベルタウンはスコットランド南西部のキンタイア半島の先端に位置する、かつて漁業とウイスキーで栄えた静かな港町です。
かつてキャンベルタウンは「世界のウイスキーの首都」と呼ばれ、ウイスキーをたしなむ者としては外せない地域です。
独特の塩気やオイル感など、他の地域にはない個性的な味わいは、一度ハマると抜け出せない魅力があります。
この記事では、年間100本以上のテイスティング経験を活かし、キャンベルタウンの歴史から蒸留所の一覧、今飲むべきおすすめの1本まで詳しく解説します。
この記事を読めば、あなたの好みにぴったりのキャンベルタウンモルトが必ず見つかります。

俺もいつか現地に行くんだあ。
キャンベルタウンウイスキーとは?世界を虜にする3つの特徴
キャンベルタウンがなぜ「ウイスキーの聖地」として特別視されているのか、その理由を簡潔にまとめました。

独特の風味の正体を知ることで、テイスティングがより深く楽しいものになります。
塩気と甘みの絶妙なバランス「ブリニー(塩っぽさ)」
キャンベルタウンのウイスキーを語る上で欠かせないのが、独特の「塩気」です。
蒸留所が海に面しているため、熟成中に潮風の影響を強く受けることが原因と言われています。
単に塩辛いわけではなく、麦芽の甘みやフルーツのような風味と混ざり合うことで、奥行きのある複雑な味わいを生み出しています。
この「ブリニー(塩っぽさ)」こそが、多くの愛好家を惹きつけてやまない最大の個性です。
飲み応えを生む「オイリーで重厚なボディ」
キャンベルタウンモルトの多くは、口に含んだときに「油分(オイル感)」を感じる重厚な質感を持っています。
サラリとした軽快なウイスキーとは対極にあり、しっかりとした飲み応えと長い余韻を楽しむことができます。
一度味わうと、他の地域のウイスキーが物足りなく感じてしまうほどの存在感があります。
かつての「世界のウイスキーの首都」としての誇り
今でこそ蒸留所の数は少ないですが、キャンベルタウンはスコッチウイスキーの歴史において極めて重要な場所です。
最盛期には「世界のウイスキーの首都」と呼ばれ、狭い町の中に30以上の蒸留所がひしめき合っていました。
その伝統を継承し、現在も多くの工程を職人の手作業で行っている点が、キャンベルタウンの誇りです。
歴史の重みを感じながら飲む一杯は、また格別の味わいがあります。
なぜ人気?キャンベルタウンが辿った数奇な歴史
現在は数少ない蒸留所しか残っていないキャンベルタウンですが、その背景にはドラマチックな衰退と復活の物語があります。

歴史的背景を知ることは、グラスの中の液体に込められた情熱を感じる第一歩となります。
30以上の蒸留所がひしめき合った黄金時代
19世紀後半、キャンベルタウンはスコッチウイスキー産業の中心地として栄華を極めました。
良質な水、石炭、麦芽が手に入りやすく、港からは世界中に向けてウイスキーが出荷されていました。
当時は「キャンベルタウンにウイスキーなしでは、ブレンドは完成しない」と言われるほど、ブレンダーたちにとっても欠かせない存在だったのです。
なぜ衰退したのか?粗悪な密造酒と禁酒法の影
しかし、20世紀に入ると状況は一変します。
第一次世界大戦やアメリカの禁酒法の影響で輸出が激減し、さらにはコスト削減のために質を落とした粗悪なウイスキーを生産する蒸留所が増えてしまいました。
信頼を失ったキャンベルタウンは急速に衰退し、次々と蒸留所が閉鎖されるという悲劇に見舞われました。
現代の「少量生産・高品質」へのシフトと希少価値
冬の時代を経て、生き残った蒸留所たちは「質」を極める道を選びました。
効率を捨ててでも伝統的な製法を守り抜き、一本一本を丁寧に作り上げるスタイルが、現代のウイスキーファンから高い評価を受けています。
生産量が限られているため希少性が高く、リリースされるたびに世界中で争奪戦が起きるほどの人気を誇っています。
キャンベルタウンの現存する3つの蒸留所を徹底比較
現在キャンベルタウンで稼働している蒸留所はわずか3つですが、それぞれが驚くほど異なる個性を放っています。

各蒸留所のスタイルを理解して、自分の好みの方向性を確認してみましょう。
究極の手作りモルト「スプリングバンク」
「モルトの香水」と称えられるほど華やかな香りと、複雑な味わいを持つのがスプリングバンク蒸留所です。

最大の特徴は、全ての工程(フロアモルティングから瓶詰めまで)を一貫して自社で行っている点にあります。
伝統を重んじるその姿勢から生み出される液体は、力強さと気品を兼ね備えた唯一無二の存在です。
スプリングバンク蒸留所:https://maps.app.goo.gl/66MS1E4nVJx1erw56
華やかさと潮風の調和「グレンスコシア」
グレンスコシア蒸留所は、キャンベルタウンらしい塩気がありつつも、華やかでフルーティーなスタイルを得意としています。

かつては影が薄い時期もありましたが、近年は品質が劇的に向上し、ウイスキーの国際的な賞を数多く受賞しています。
潮風を感じるキャラメルのような甘みがあり、初心者の方でも親しみやすい味わいが魅力です。
グレンスコシア蒸留所:https://maps.app.goo.gl/8fi5XPK2WKYXCjRM9
待望の復活を遂げた「グレンガイル 」
2004年に約80年ぶりに復活を果たしたのがグレンガイル蒸留所(銘柄名はキルケラン)です。

スプリングバンクと同じ経営陣によって運営されており、非常にクオリティの高いウイスキーを生産しています。
また、原料の麦芽から熟成・瓶詰めまで、すべてをキャンベルタウンで行う数少ない生産者と言われています。
若々しくフレッシュな中に、キャンベルタウンらしいオイリーさとピートのニュアンスが同居する、今最も勢いのあるブランドの一つです。
【初心者から愛好家まで】飲んで欲しいおすすめ銘柄5選
キャンベルタウンのウイスキーはなかなか手に入れるのは難しいのが現状ではあります…。
だからこそ、どのボトルから試せば良いか迷っている方のために、キャンベルタウンの個性を存分に味わえる5本を厳選しました。
それぞれのボトルが持つ「潮風」と「ストーリー」を、私のテイスティング経験を交えて解説します。
グレンスコシア ダブルカスク
【キャンベルタウンの入門に最適。華やかさと潮風の共演】
キャンベルタウンモルトの入門編として、これほどバランスの良い1本はありません。

今宵の二杯目は、グレンスコシアの中でもかなりお気に入りのダブルカスクをいただきます(^^)
潮旨が正に分かるお酒でコスパ的にも宜しいですねぇ😋 pic.twitter.com/h4GosugDYM— 虎吉 (@19573269) January 27, 2026
ファーストフィルバーボン樽で熟成後、ペドロヒメネスシェリー樽で後熟(フィニッシュ)させることで、バニラ系の甘みとスパイシーさが見事に調和しています。
キャンベルタウンのウイスキーを、まずはこのボトルで体感してください。
香り: キャラメル、リンゴ、かすかな潮風
味わい: 濃厚なバニラ、ハチミツ、プリンのような甘み
余韻: スパイシーで心地よい塩気のアクセント
キルケラン 12年
【80年の時を超えて復活。モダン・キャンベルタウンの傑作】
一度は途絶えた蒸留所の歴史を、スプリングバンクのスタッフたちが執念で蘇らせました。

キャンベルタウン
キルケラン12年
今まで飲んだ
どのウイスキーにも似てない
スモーキー→ビター→塩キャラメル→
フルーティ→オイリーな余韻
濃いめに作るとこんな感想
複雑で美味い、、#ウイスキー #ハイボール #キルケラン12年 pic.twitter.com/JmJGLU6LPM— 平日休みの秘密基地・連絡所 (@heijitsu_ryo) February 4, 2026
若々しくエネルギッシュでありながら、キャンベルタウンらしい重厚なボディもしっかりと備えています。
ストレートはもちろん、少量の加水で香りが爆発的に開く変化も楽しんでほしい1本です。
香り: 焼きたてのトースト、マシュマロ、メロン
味わい: クリーミーな甘み、潮風のニュアンス、優しい麦ピート
余韻: ドライでビター、ほのかな煙たさが残る
スプリングバンク 10年
【「モルトの香水」と称される、究極のハンドメイド・モルト】
全ウイスキーファンが憧れる、キャンベルタウンの象徴ともいえる大人気ウイスキーです。

スプリングバンク10年
今日、いつもの酒屋でご縁を頂いたモルトの香水。ほんとに久々のバンク10年。めちゃくちゃ美味しい😭😭絶妙なブリニーさ(語彙力崩壊)。しっかり大事に飲んでいこう‼️#TWLC pic.twitter.com/DRWQykMyfU— ひらぱー (@hirapa100) May 25, 2025
別名、『モルトの香水』。
香り高く、ブリニーでオイリーな味わいは右に出るものはないといえるほど非常にバランスの取れたウイスキー。
10年熟成とは思えないほどの複雑さと奥行きがあり、飲むたびに新しい表情を見せてくれます。
供給が追いつかず非常に入手困難ですが、もし出会えたなら迷わず手に入れるべき「基準」の1本です。
※普通に買う場合は、プレ値でしか買えないと思っておいたほうが良いでしょう。初めて飲むならバーがおすすめです。
香り: 洋梨、バニラ、ナッツ、上品なピート香
味わい: オイリーな質感、麦芽の甘み、柑橘の皮
余韻: 非常に長く、塩気を伴うスモーキーさが続く
ロングロウ
【アイラとは一線を画す、無骨で力強いスモーキーさ】
スプリングバンク蒸留所で、ピートを強く焚き込んで造られる銘柄です。

今日はロングロウをストレートで頂きます😋ピートがいい感じです👍 pic.twitter.com/EBVsvuGWPS
— ビスベン (@bisuben) February 8, 2026
単に煙たいだけでなく、キャンベルタウン特有の「油分」と「塩気」がスモークと混ざり合い、焚き火のそばにいるような温かみを感じさせます。
重厚な飲み応えを求める愛好家から、絶大な支持を得ているボトルです。
香り: 力強い焚き火の煙、土っぽさ、革製品
味わい: 濃厚な甘み、塩コショウ、オイリーな質感
余韻: 長く力強いスモーキーさと、ミネラル感
キャンベルタウン・ロッホ
【街の全蒸留所が共演。贅沢すぎる「オール・キャンベルタウン」ブレンデッド】
キャンベルタウンにある3つの蒸留所(スプリングバンク、グレンスコシア、グレンガイル)の原酒のみをブレンドした、非常に贅沢な1本です。

キャンベルタウン ロッホ🥃
ラバーズ楽しかったなぁ!
次の楽しみに向けてまた仕事頑張ろう😁 pic.twitter.com/FZstsJsSYG— アキ (@aki_ndrf) January 27, 2026
かつて街の入り口にある「ロッホ(入江)」にウイスキーを満たしてほしいと願った男たちの歌にちなんで名付けられました。
これ1本でキャンベルタウンの個性を丸ごと味わえるため、ストックしておきたくなる魅力があります。
香り: 甘いハチミツ、潮風、かすかなスモーク
味わい: スパイシーでオイリー、キャラメル、ナッツ
余韻: 潮気が心地よく、ドライで調和の取れたフィニッシュ
キャンベルタウンウイスキーが「買えない」と言われる理由
近年、キャンベルタウンのボトルは非常に手に入りにくくなっています。

なぜこれほどまでに市場から姿を消しているのか、その背景と賢い探し方についてお伝えします。
世界的な需要増に対して生産量が圧倒的に少ない
一番の理由は、シンプルに需要と供給のバランスが崩れていることです。
スプリングバンクをはじめ、キャンベルタウンの蒸留所はどこも小規模で、伝統的な製法を守るために大量生産を行っていません。
そこへ近年の世界的なウイスキーブームが重なり、供給が全く追いついていない状況が続いています。
投資対象としての価値向上と価格の高騰
キャンベルタウンウイスキーは、その希少性と品質の高さから、投資やコレクターの対象になりやすい傾向があります。
オークションで高値がつくことも珍しくなく、本来の愛好家の手になかなか届かないという側面もあります。
結果として、店頭で見かけることが稀になり、価格も上昇傾向にあります。

歯ぎしりが止まりません笑
特有の「手作り」へのこだわりがもたらす希少性
彼らは機械化による効率アップよりも、職人の勘や伝統を優先しています。
例えばフロアモルティング(床の上で麦芽を芽吹かせる作業)は重労働ですが、それが唯一無二の味わいを生みます。
このこだわりがある限り、爆発的に流通量が増えることはありませんが、だからこそ一口の価値が非常に高いのです。
まとめ:潮風香るキャンベルタウンの世界へ
キャンベルタウンウイスキーは、その希少性と独特の風味から、世界中のファンを魅了し続けています。
かつて「世界の首都」と呼ばれた歴史に裏打ちされた味わいは、他のどの地域にも似ていません。
まずは手に入りやすい銘柄から手に取って、潮風香る黄金時代の名残を、あなたのグラスで感じてみてください。

本当に素晴らしい完成度のウイスキーばかりです。
絶対に飲んでみてほしいです。
ブリニーなウイスキーについて知りたい人はコチラの記事もチェック!
















