バーボン樽とシェリー樽の違いとは?ウイスキーの味・香りと選び方をわかりやすく解説

コラム

ウイスキーの商品説明を見ていると、「バーボン樽熟成」「シェリー樽熟成」という言葉をよく目にします。

なんとなく「バーボン樽はバニラ系」「シェリー樽はレーズンのような甘い香り」というイメージはあっても、具体的に何が違うのか分からない方もいると思います。

大まかな傾向として、バーボン樽はバニラやココナッツ、柑橘などを思わせる香味、シェリー樽はドライフルーツやスパイス、ナッツ、チョコレートなどを思わせる香味を探すときの手掛かりになります。

ただし、「バーボン樽だから必ずバニラ味」「シェリー樽だから必ず濃厚で甘い」と決まるわけではありません。

ウイスキーの味は、樽に以前入っていた酒だけでなく、樽材の種類、樽の使用回数、熟成期間、原酒そのものなど複数の条件によって変わります。

この記事では、バーボン樽とシェリー樽の違いを整理しながら、ウイスキーの商品説明に書かれている「樽」の情報をどう読めばよいのかまで解説します。

たぬき腹
たぬき腹

樽について知っておくと、自分の飲みたいウイスキーをイメージするのに役立ちます。

バーボン樽とシェリー樽の違い

まずは、大まかな違いを比較してみましょう。

比較項目バーボン樽シェリー樽
基本的な意味バーボンの熟成に使われた樽シェリーに由来する履歴を持つ樽
香味の傾向バニラ、ココナッツ、キャラメル、柑橘などドライフルーツ、レーズン、スパイス、ナッツ、チョコレートなど
樽材主にアメリカンホワイトオークアメリカンオーク、ヨーロピアンオークなど
覚えておきたい点「アメリカンオーク」と完全な同義ではない「ヨーロピアンオーク」と完全な同義ではない

バーボンには、アメリカの規定上、焦がした新しいオーク容器で熟成するという条件があります。

そのため、一度バーボンの熟成に使われた樽が、その後スコッチなど別のウイスキーの熟成に活用されています。

スコッチウイスキーでは、バーボンやシェリー、ワイン、ラムなどに使われたオーク樽が伝統的に熟成へ利用されてきました。

さまざまな樽での熟成やフィニッシュに使う樽の違いが、それぞれのウイスキーに異なる香味を与える要因のひとつになります。

ただし、表に挙げた香りはあくまで傾向です。

樽の名前だけで完成したウイスキーの味を決めつけるのではなく、「どんな味になりやすいかを予想する材料」として見るのがよいでしょう。

バーボン樽とは?バニラやココナッツ系の香りが特徴

ウイスキーでいうバーボン樽は、多くの場合、アメリカでバーボンの熟成に使用された後のオーク樽を指します。

バーボンの熟成では新しい焦がしたオーク樽が使われます。アメリカのTTBも、バーボンの熟成についてチャーした新しいオーク容器を使用することを規定しています。

そして、バーボン樽に多く使われるのが北米産のホワイトオークです。

例えば、サントリーでは、北米産ホワイトオークからはバニラやココナッツを思わせる香味が生まれると説明しています。

私の経験からしても、バーボン樽で熟成されたウイスキーでは、

バニラやキャラメルのような甘さ、ココナッツ、柑橘、軽快なオーク香などを感じるタイプが多く見られます。

特にスコッチでは、バーボン樽は非常によく使われる熟成樽のひとつです。

たぬき腹
たぬき腹

バーボン樽は必修科目と言えます。

「バーボン樽」と「アメリカンオーク」は同じ意味ではない

ここは、ウイスキーを選ぶうえで覚えておきたいポイントです。

バーボン樽は「樽の使用履歴」、アメリカンオークは「木の種類」を表しています。

そのため、

「アメリカンオークと書かれている=バーボン樽」

とは限りません。

たとえばザ・マッカランのダブルカスクシリーズでは、シェリーで風味づけされたヨーロピアンオーク樽だけでなく、シェリーで風味づけされたアメリカンオーク樽も使用しています。

つまり同じアメリカンオークでも、

バーボンを熟成した樽なのか、シェリーでシーズニングされた樽なのかによって条件が変わります。

商品説明を読むときは、

何の木なのか

その樽に以前何が入っていたのか

を分けて見ると、ウイスキーの樽について理解しやすくなります。

たぬき腹
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僕が好きなバーボン樽のウイスキーをちょっと紹介。

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アラン 10年 正規品 46度 700ml
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Clynelish(クライヌリッシュ) 14年 700ml
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シェリー樽とは?ドライフルーツやスパイス系の香りが特徴

シェリー樽は、シェリーに由来する履歴を持つオーク樽をウイスキー熟成に利用したものです。

ただし、「現地で長年シェリー酒を貯蔵していた古樽を、そのままウイスキー蒸溜所へ持ってくる」とだけ考えると、現在のシェリー樽事情を正確には捉えられません。

現代では、ウイスキー熟成用に用意されたオーク樽をシェリーで一定期間シーズニングしてから使用する方法も広く見られます。

たとえばザ・マッカランでは、スペインのヘレス・デ・ラ・フロンテーラでオーク樽にオロロソシェリーを詰め、少なくとも12〜18か月間シーズニングした後、ウイスキーの熟成に使用しています。

シェリー樽から連想される香味としては、

レーズンやイチジクなどのドライフルーツ、ナッツ、スパイス、チョコレートなどが代表的です。

実際、ザ・マッカラン シェリーオーク18年では、公式に熟成したオーク、ジンジャー、レーズンなどの風味が紹介されています。

シェリー樽のおすすめウイスキーは以下の記事で紹介中!

シェリー樽にも樽材の違いがある

もうひとつ重要なのが、シェリー樽の材質です。

「シェリー樽=ヨーロピアンオーク」と思われがちですが、実際にはアメリカンオークを使ったシェリーシーズニング樽も存在します。

ザ・マッカランのダブルカスクシリーズが分かりやすい例で、シェリーで風味づけされたヨーロピアンオークとアメリカンオークを組み合わせています。

つまり「シェリー樽」という言葉だけで味を予想するより、

どの樽材なのか × どのようなシェリー履歴を持つのか

まで見たほうが、より具体的にウイスキーの性格を想像できます。

バーボン樽とシェリー樽で味はどう変わる?

分かりやすく整理すると、

バーボン樽は明るく軽快な甘さ、シェリー樽は濃厚で奥行きのある甘さ

という方向で語られることが多くあります。

たとえばバーボン樽なら、バニラ、ハチミツ、キャラメル、ココナッツ、柑橘など。

シェリー樽なら、レーズン、イチジク、ナッツ、チョコレート、スパイスなど。

ただし、これは絶対的な分類ではありません。

同じシェリー樽でもアメリカンオークとヨーロピアンオークでは影響が異なりますし、同じバーボン樽でも樽のサイズや使用回数、熟成年数によって香味は変わります。

つまり、

「何の酒が入っていた樽か」だけでは、ウイスキーの味は決まらない

ということです。

樽を見るときは「4つの情報」に分けると分かりやすい

ウイスキーの商品説明には、

「ファーストフィル・バーボンカスク」

「ヨーロピアンオーク・シェリーカスク」

「シェリーカスクフィニッシュ」

など、さまざまな表現が登場します。

樽を見るときは「4つの情報」に分けると分かりやすい

一見難しそうですが、樽に関する情報を4つに分けると理解しやすくなります。

1.以前何が入っていた樽なのか

まず見るのは、樽の使用履歴です。

代表的なのは、バーボン、シェリー、ワイン、ポート、ラムなど。

以前入っていた酒によって、ウイスキーに与える香味の方向も変わります。

スコッチでは、こうしたさまざまな酒類の熟成に使用されたオーク樽が伝統的に利用されています。

たぬき腹
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ウイスキーというお酒を造るために、他のお酒をつくるのにつかわれた樽が使われる。

これって、ほんとにおもしろいですよね。

2.何の木から作られているのか

次に確認したいのが樽材です。

代表的なのはアメリカンオーク、ヨーロピアンオーク、そして日本のミズナラなど。

サントリーでは、北米産ホワイトオークではバニラやココナッツ、スパニッシュオークではドライフルーツやチョコレート、ミズナラでは伽羅や白檀を思わせる香りが例として挙げられています。

樽に以前入っていた酒だけではなく、木そのものもウイスキーの香味を左右するということです。

3.何回目に使われる樽なのか

商品説明では「ファーストフィル」「リフィル」といった表現も使われます。

ファーストフィルは、ウイスキー熟成用としてその蒸溜所側で初めて使用する樽を示す場合に使われる言葉です。

つまり「新品のオーク樽」という意味とは限りません。

バーボンの熟成に一度使われた樽であっても、その後スコッチの熟成に初めて使われれば、ファーストフィル・バーボン樽として扱われることがあります。

また、ファーストフィルで使った樽に、再度原酒を投入して熟成する場合は「セカンドフィル」、同じように3度目の投入を行うことを「サードフィル」といい、これらセカンドフィル以降を「リフィル」と呼びます。

一般的にはファーストフィルのほうが樽から受ける影響が強く、使用回数が増えるにつれて樽の影響は穏やかになります。

4.どのように熟成へ使ったのか

最後に見るのが、樽を使ったタイミングです。

熟成期間の大部分をその樽で過ごしたのか。

あるいは別の樽で熟成した後、最後だけシェリー樽やワイン樽などへ移したのか。

後者は「カスクフィニッシュ」や「フィニッシング」などと呼ばれます。

そのため、

「シェリー樽熟成」と「シェリーカスクフィニッシュ」は同じ意味ではありません。

ラベルや商品説明に「Matured」「Finished」「Finish」といった表現があれば、どの段階でその樽を使ったのか確認してみるとよいでしょう。

バーボン樽とシェリー樽はどちらがおすすめ?

どちらが優れているというものではなく、最終的には好みです。

初めて樽を意識してウイスキーを選ぶなら、自分が好きな香りから考えてみると分かりやすくなります。

バニラ、キャラメル、ココナッツ、柑橘などの香りが好きなら、バーボン樽系。

レーズン、ドライフルーツ、ナッツ、チョコレート、スパイスなどが好きなら、シェリー樽系。

まずはこの程度の理解で十分です。

さらに飲み比べていくと、

「バーボン樽でもかなり濃厚だな」

「同じシェリー樽でも、こちらはフルーティーさが強い」

といった違いが見えてきます。

そこから樽材や熟成期間、ファーストフィルかリフィルかといった情報まで見るようになると、商品説明だけでも味の方向をかなり予想できるようになります。

実際に2種類の樽の違いを体験してみたいなら、両方を使ったウイスキーも面白い選択です。

たぬき腹
たぬき腹

たとえばザ・バルヴェニー12年 ダブルウッドは、アメリカンオーク材のバーボン樽などで12年以上熟成した後、オロロソシェリー樽へ移して追加熟成しています。メーカーは、バーボン樽から柔らかさと繊細さ、シェリー樽から深みとコクが加わると説明しています。

ひとつのボトルの中で、異なる樽の役割を意識して飲んでみるのも面白いでしょう!

まとめ:樽の違いを知ると、ウイスキー選びがもっと面白くなる

バーボン樽とシェリー樽は、ウイスキーの香りや味を予想するときの大きな手掛かりです。

バーボン樽ではバニラやココナッツ、キャラメルなど。

シェリー樽ではドライフルーツやナッツ、スパイス、チョコレートなど。

まずは、この違いを覚えておけば十分でしょう。

ただし、一歩踏み込むなら「バーボン樽」「シェリー樽」という名前だけで判断せず、

以前何が入っていたか
何の木から作られているか
何回目の使用か
どのように熟成へ使われたか

まで見てみてください。

「シェリー樽=甘い」「バーボン樽=軽い」という単純な分類では見えなかった違いが分かるようになります。

樽について少し知識を持つだけで、ボトルの商品説明は単なる難しい用語の羅列ではなくなります。

次にウイスキーを選ぶときは、銘柄や価格だけでなく、ぜひ「どんな樽で熟成されたのか」にも注目してみてください。


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