「ブレンデッドモルトって、どんなウイスキーなの?」と疑問に思っていませんか?
複数の蒸留所のモルト原酒のみを混ぜ合わせるこのカテゴリーは、個性が強すぎるシングルモルトと、飲みやすさを重視したブレンデッドの中間に位置する、いわば「いいとこ取り」のウイスキーです。
これまで数多くのウイスキーをテイスティングし、奥深いブレンド技術の進化を肌で感じてきた筆者が、ブレンデッドモルトの定義から、今飲むべき珠玉の銘柄まで分かりやすくお伝えします。
読み終える頃には、あなたにぴったりの至高の1本が見つかっているはずです。

ブレンデッドモルトは美味いぞ。
ブレンデッドモルトとは?定義と3つの大きな特徴
「ブレンデッドモルト」という言葉を聞き慣れない方のために、まずはその正体を明らかにします。

決して難しい話ではないので、基礎知識としておさえていきましょう。
複数の蒸留所のモルト原酒のみを合わせたもの
ブレンデッドモルトとは、大麦麦芽(モルト)のみを原料とする「シングルモルト」を、二つ以上の異なる蒸留所から集めて混ぜ合わせたウイスキーのことです。
最大の特徴は、トウモロコシなどの穀物を原料とした「グレーンウイスキー」を一切含まない点にあります。
つまり、モルト原酒が持つ力強いコクや芳醇な香りを100%維持したまま、複数の蒸留所の個性を掛け合わせた「贅沢なブレンド」なのです。

読んでいるだけで美味しそうなイメージが膨らんできます笑
モルト原酒100%が生み出す「深み」と「複雑さ」
ブレンデッドモルトの最大の魅力は、異なる蒸留所で造られた複数のモルト原酒を掛け合わせることで、単一の蒸留所では表現できない立体的な味わいが生まれる点にあります。
プロのブレンダーが何十種類もの試作を重ねて辿り着いた、完璧な調和をぜひ体験してみてください。
シングルモルトやブレンデッドウイスキーとの決定的な違い
「シングルモルト」と「ブレンデッドウイスキー」のちょうど中間に位置するのが、ブレンデッドモルトです。
シングルモルトは単一の蒸留所の個性を純粋に楽しむものですが、時にその個性が強すぎて飲みづらく感じることがあります。
一方で、安価なブレンデッドウイスキーはトウモロコシなどを原料とする「グレーンウイスキー」を混ぜることで飲みやすくしていますが、モルト特有の力強さは控えめになりがちです。
ブレンデッドモルトは、グレーンを一切使わずモルト原酒100%にこだわりつつ、複数の蒸留所を混ぜることで「個性の強さ」を「奥深いバランス」へと昇華させています。
いわば、シングルモルトの「贅沢さ」と、ブレンデッドの「飲みやすさ」を極限まで追求したハイブリッドな存在と言えるでしょう。
旧称「ヴァッテッドモルト」から名称が変更された背景
かつてこのカテゴリーは「ヴァッテッドモルト」や「ピュアモルト」と呼ばれていましたが、現在は「ブレンデッドモルト」という名称に統一されています。
これには、消費者の混乱を防ぎ、ウイスキーの定義をより明確にするという世界的なルール変更が関係しています。
特に「ピュアモルト」という言葉は、かつてシングルモルトを指す意味でも使われていたため、買い手が混同しやすいという課題がありました。
例えば、ある蒸留所が原酒不足を補うために他社の原酒を混ぜた際、従来と同じような名前で販売したことで、中身が「単一の蒸留所のものか、複数の蒸留所のものか」が曖昧になる問題が発生したのです。
こうした議論を経て、現在ではスコッチウイスキーの規則により「ブレンデッドモルト」という表記が正式なものとして義務付けられました。
現在も一部の日本メーカーなどで「ピュアモルト」という名称が使われることがありますが、それはかつての伝統的な呼び名が親しまれているという背景があります。

竹鶴は今でもピュアモルトって明記されているね。
当時の名残だったのか。
【プロ厳選】初心者から愛好家まで納得のおすすめ銘柄10選
ブレンデッドモルトは、シングルモルトの個性を保ちつつも、ブレンダーの技術によって驚くほど飲みやすく仕上げられています。

ここでは、数多のテイスティング経験から「価格に見合う納得感」があり、今本当に飲むべき10本を厳選しました。
あなたの好みに合う至高の1本を見つけてみてください。
【入門編】まずはこれから!飲みやすさ抜群の3選
モンキーショルダー
【ウイスキーをもっと自由に。世界中で愛されるカクテルの相棒】
スコットランドのスペイサイド地方にある3つの蒸留所のモルトをブレンドした銘柄です。

名前の由来は、かつて手作業で麦芽を混ぜていた職人たちが患った職業病への敬意が込められています。
価格も手ごろで、味わいもピカイチ。おすすめの一本です。
ハイボールがおすすめ。初心者の方でも最高に爽やかな一杯を楽しめます。
<テイスティングノート>
- 香り:バニラ、蜂蜜、オレンジの皮を思わせる、非常に華やかでフルーティーな香りが広がります。
- 味わい:麦芽の甘みがしっかりと感じられ、まろやかでクリーミーな口当たり。
- 余韻:微かなオークの香りとスパイシーさが、心地よく喉を抜けます。
ニッカ セッション
【日本とスコットランドの個性が共鳴する、華やかな旋律】
ニッカウヰスキーが誇るビターで上品な原酒と華やかなスコットランドの原酒をブレンダーが緻密にセッションさせた1本です。

独特なデザインで美しい青いボトルが象徴するように、これまでのウイスキーの枠を超えた自由でモダンな味わいを目指して造られました。
個人的に過小評価されているな~と感じる一本。
<テイスティングノート>
- 香り:オレンジやリンゴのようなフルーティーさと、バニラの甘い香りがバランスよく漂います。
- 味わい:クリーミーな口当たりから、次第にビターチョコのような深みと、微かなピートの刺激が現ります。
- 余韻:爽やかな柑橘の香りと、ほのかなスモーキーさが美しく長く続きます。
ジョニーウォーカー グリーンラベル 15年
【4つのシングルモルトが奏でる、完成された黄金比】
世界で最も売れているスコッチ、ジョニーウォーカーの中でも「モルト原酒のみ」を使用した贅沢なボトルです。

タリスカー、リンクウッド、クラガンモア、カリラという、全く異なる個性が15年の熟成を経て完璧に調和しています。
<テイスティングノート>
- 香り:草木のような爽やかさと、完熟したフルーツ、そして奥に潜む微かなスモーク。
- 味わい:非常にリッチで深みがあり、ナッツの香ばしさとサンダルウッドのようなウッディさが広がります。
- 余韻:ドライで温かみがあり、スパイシーなフィニッシュが満足感を高めます。
【個性派】産地の個性を味わい尽くす!アイラ&ハイランド4選
ハンターレイン アイラ・ジャーニー
【アイラ島の魂を巡る旅。強烈な潮風と煙の洗礼】
名門ボトラーズ、ハンターレイン社がアイラ島の著名な蒸留所の原酒を厳選。

その名の通り、アイラ島を旅しているかのような力強い個性が詰まっています。
構成原酒はアードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグ、ブナハーブン、カリラ。贅沢です。
<テイスティングノート>
- 香り:強烈なピートスモークと、海岸を散歩しているような潮の香り。
- 味わい:どっしりとしたスモーキーさの中に、海水、海藻が顔を出します。
- 余韻:長く、ドライなフィニッシュ。焚き火の煙のような余韻がいつまでも続きます。
ハンターレイン ハイランド・ジャーニー
【ハイランドの優雅な休息。蜂蜜とヘザーが織りなす気品】
こちらはハイランド地方の原酒をブレンド。

100%アメリカンオークとスパニッシュシェリーカスクで熟成された原酒が、ハイランドらしい力強さと複雑かつアロマな気品を見事に表現しています。
構成原酒はブレアソール、クライヌリッシュ、グレンゴイン。
<テイスティングノート>
- 香り:バニラ、カスタード、そしてハイランド地方特有のヘザー(花)の蜂蜜のような甘い香り。
- 味わい:非常にリッチで滑らか。洋ナシやドライフルーツの甘みが口いっぱいに広がります。
- 余韻:オークのスパイシーさと甘みが混ざり合い、非常に上品な終わり方を迎えます。
ダグラスレイン スカリーワグ
【スペイサイドの愛され犬。シェリー樽由来の甘美な誘惑】
ダグラスレイン家で代々飼われているフォックステリアがラベルに描かれた、愛らしいボトル。

マッカランやモートラック、グレンロセスなど、スペイサイドを代表する原酒が、シェリー樽の魔法で甘くスパイシーに仕上げられています。
<テイスティングノート>
- 香り:ダークチョコレート、レーズン、そしてシナモンやナツメグのようなスパイス。
- 味わい:濃厚なシェリーの甘みが主体。まるでフルーツケーキを食べているような贅沢な質感です。
- 余韻:温かくスパイシー。柑橘系のような爽やかさが最後に残ります。
ビッグピート
【アイラモルトの怪物。強烈な個性が生む圧倒的な中毒性】
「強烈なピート」をコンセプトに、アードベッグやボウモアなど、アイラモルトのみをブレンド。

ラベルのインパクトに負けない、アイラ好きのための究極のブレンデッドモルトです。
一口目に経験する衝撃はピカイチ。その分好みもわかれるスモーキーなウイスキーです。
<テイスティングノート>
- 香り:新鮮なピートのスモークと、消毒液のようなヨード香。
- 味わい:口当たりは意外にも甘く、そこから一気に灰や潮の力強い風味が爆発します。
- 余韻:潮風と強烈なスモーキーさが支配する、非常に長いフィニッシュ。
【こだわり派】プロも唸る!高い技術力が光る至高の3選
オーチャードハウス ブレンデッドモルト
【果樹園の輝き。ウイスキー界の異端児が放つ芸術作品】
コンパスボックス社が「フルーツの香り」を最大限に引き出すために造り上げた逸品。
華やかな原酒を独自の感性でマリッジさせています。

大人気なので、気になっている人は見かけたら即買いを推奨。
<テイスティングノート>
- 香り:もぎたてのリンゴ、洋ナシ、そしてライムのような清涼感のあるフルーツ香。
- 味わい:フレッシュでジューシー。蜂蜜のかかったフルーツタルトのような多幸感があります。
- 余韻:クリーンで軽快。微かなオークの渋みが全体を綺麗に引き締めます。
竹鶴ピュアモルト
【ジャパニーズウイスキーの真髄。竹鶴政孝が描いた理想郷】
ニッカウヰスキーの原点であり、日本のウイスキーファンの終着駅の一つ。

キーモルトには熟成の力強い余市モルトと、華やかな宮城峡モルトが溶け合い、唯一無二のバランスを実現しています。
<テイスティングノート>
- 香り:熟したリンゴのような果実味と、心地よいピートの煙、バニラのような樽香。
- 味わい:シルクのように滑らか。バニラの甘みと、軽く燻したナッツのようなコクが重なります。
- 余韻:甘く香ばしい余韻が、静かに、そして長く続きます。
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ リーフラベル
【二つの蒸留所の絆。羽生と秩父が共鳴する「奇跡」の1本】
すでに閉鎖された「羽生蒸留所」の原酒と、現在の「秩父蒸留所」の原酒をブレンドした、日本のクラフトウイスキーを象徴するボトルです。

羽生の力強いモルトと秩父の洗練されたモルトを、ミズナラ樽でマリッジ(後熟)させることで、唯一無二の気品を生み出しています。
<テイスティングノート>
余韻:生姜のような心地よい温かさと、上品な樽の香りが驚くほど長く残ります。
香り:オリエンタルな香木(白檀)やハーブ、そしてドライフルーツの深い香りが幾重にも重なります。
味わい:蜂蜜のようなとろける甘みの後から、ミズナラ樽由来のスパイシーさと、複雑なウッディさが押し寄せます。
※注意:このボトルは希少性が高く、現在は市場で「プレ値(プレミア価格)」で取引されることが常態化しています。
価格についてはある程度妥協が必要になるボトルかもしれません。
購入の際は信頼できるショップであるかを十分に確認するように気を付けましょう!
まとめ:ブレンデッドモルトでウイスキーの常識が変わる
この記事では、ブレンデッドモルトの基礎知識から、今飲むべき10の銘柄を解説しました。
「複数のモルトを混ぜ合わせる」という技術は、単一の蒸留所では決して辿り着けない新しい美味しさを生み出します。
まずは気になる1本を手に取って、その奥深い世界を体験してみてください。
一歩踏み出すことで、あなたのウイスキーライフはもっと自由で、もっと贅沢なものに変わるはずです。
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